本ページ内容は、米国アリゾナ州フェニックス日本人向け雑誌「オアシス」に掲載されたコラムを許可を得て転載しています。テーマ以外のことも多く書かれていますが、松久先生の人柄も皆さんに良くわかっていただきたいと考え、小見出しを付け加える以外はそのまま掲載しました。

足首の捻挫はきっちり治しておこう

足関節、すなわち足首の怪我(捻挫、骨折など)は、体験しうる怪我のうちでも最も頻度が高いものに入ります。

私が日本で整形外科医として働いていたときには、数多くの足関節捻挫、正式には足関節靭帯損傷の患者さんを診てきました。特に傷めやすいのが、足首の外側にある靭帯(前距腓靭帯)です。足をくじいたり、捻ったりして損傷する怪我の殆どがこの靭帯に起こります。

西洋医学的治療の考え方

整形外科的治療として基本的には、冷やして腫脹をひかせること、足首が動かないように固定(軽い場合は包帯、中程度以上の場合はギブス)することを行います。

しかし、レントゲン写真によるストレス撮影(一定の方向にストレスをかけた状態で関節の不安定性をみるために行われる)にて足関節に不安定性が明らかに認められたときには、先ほど述べた前距腓靭帯の完全断裂が疑われ、活動性の低い高齢者以外の人には、早期の良好な回復と再発予防を狙って手術が第一選択になります。

通常、手術をしない軽度、中程度捻挫は、包帯やギブスによる3−4週間の固定で安定し、その後、簡単なリハビリをして回復します。

また、重度で手術になる場合は、麻酔下で、前述の断裂した靭帯を縫合します。そして手術後は3−4週間のギブス固定を行い、ギブス除去後リハビリを行います。

足首のねんざは再発が多い

このように、私も日本にて多くの足関節捻挫の患者さんを診てきましたが、保存的治療(手術しない治療法)でも手術療法でも、治療後に再発する患者さんが多いことには驚きました。完全に手術にて縫い合わせても、何故か暫くすると再び同じ場所を損傷してくるのです。特に活動性の高いスポーツ選手ではこの再発損傷は困ったものです。

では、何故、この足首の捻挫は再発しやすいのでしょうか。それは、足首を捻ったときに生じた微妙な骨(足根骨)のずれが、そのまま残っているからと考えられます。

今の現代西洋医学では、足首に損傷が起こった場合、靭帯の治療、腫れ、痛みをとる治療はしますが、肝心で根本的な問題に目を向けていないわけです。不運なことに、この微妙な骨のずれはレントゲン写真では同定不可能です。これは、怪我した足首を入念に観察し、その上で繊細に触診することで判断することが出来ます。

逆に、仕事やスポーツによる繰り返しストレスや、正しくない姿勢、動作によって、症状を感じることなくいつの間にか、この骨のずれが生じてしまっている場合も良く見られます。このような状態では、正常な状態に比べ、高い頻度でいっそう怪我をしやすい状態にあるといえます。

足首の神経と背骨の関係

私のカイロプラクティックでは、足首の神経を支配する背骨の領域を整えた後、この骨のずれを私の手によって治していきます。それは、怪我をした後の治療、再発目的であってもよいですし、怪我をしないための予防目的であっても良いわけです。

また、皆さんが理解するべきこととして、足や足首に問題があると、その上部にある膝、股、腰、または首に影響し、それらの痛みや不調の原因になってくるわけです。

足首に問題を感じる方は、是非、この骨のずれにつきチェックを受けられることをお勧めします。