本ページ内容は、米国アリゾナ州フェニックス日本人向け雑誌「オアシス」に掲載されたコラムを許可を得て転載しています。テーマ以外のことも多く書かれていますが、松久先生の人柄も皆さんに良くわかっていただきたいと考え、小見出しを付け加える以外はそのまま掲載しました。
人間は本来、元気が出て仕事、趣味に没頭できる能力を擁しています。しかしながら、現在の複雑な社会の中で、何故だかいつも疲れやすい、やる気が起こらない、などの愁訴が多いのには驚きます。
そういった方は、まず最初に見直さないといけないのが食事です。炭水化物、蛋白質、脂肪、そして野菜、フルーツをバランスよく摂っているか、一日3食規則正しく食べているか、ファーストフードに頼りすぎていないか、などは重要な点検項目です。
次に睡眠ですが、出来るだけ十分な深い眠りが理想的です。必要な睡眠時間には個人差がありますが、一般的には8時間が理想的でしょう。しかし、これより短い時間の方が多いのが現状で、その時間で体が適切に適応していれば全く問題ないと思われます。
そして、心の健康です。“いつも幸せだな”、“楽しいな”、“やりがいがある”など、前向きでゆとりのある心の状態は元気な体を、逆に“ついてないな”、“みじめだ”、“おもしろくない”などの後ろ向きで窮屈な心の状態は体から元気を奪い取ってしまいます。
前回お話したように、心の持ち方は交感神経と副交感神経からなる自律神経に繊細に影響します。また、副腎から出る元気ホルモン“アドレナリンまたはノルアドレナリン”の分泌にも影響するのです。
以上の項目について、いつも心がけているのにそれでもかつ疲れやすい、元気が出ないというあなたはどういうことなのでしょか。
最も考えられるのが、私が強く皆さんに注意を勧告する“背骨の一部による神経の圧迫(サブラクセーション)”です。わずかな背骨のずれが神経に悪影響を及ぼし、体の機能を狂わせるのです。
最初の食事ですが、この背骨のサブラクセーションがあると、いくら正しいものを食べても適切に消化、吸収、または排泄がなされず、必要な栄養素が摂取されなかったり、毒である不要物が体に溜まってしまうわけです。
次の睡眠に関しても、サブラクセーションによりセロトニンなどの睡眠に重要なホルモンのバランスや自律神経のバランスが崩れ、体がゆっくりと休めなくなります。
また、元気を出そうとして心の持ち方を良くしようと思っても、背骨の神経に異常があれば、精神状態が異常に亢進したり沈滞したりして、決して理想的な心の状態を作る事が出来なくなるのです。
毎日の生活の中で、よりよい健康を求めて各個人が努力することは重要な事です。大事な事は、皆さんの体の神経が最大限に機能していなければ、どんな努力も無駄になってしまう恐れがあるという理解です。
ですから、私がいつも訴えるように、まずは脳からの神経伝達に問題がないか、つまり背骨で神経の圧迫、異常がないかをチェックする事が何よりも優先されるべきなのです。
誰もが背骨に神経の圧迫をもっていますが、ほとんどの人は何の症状も感じません。背骨の健康はあなたの未来の健康なのです。
∗米国アリゾナ州フェニックス日本人向け月刊雑誌「オアシス」に書かれた松久医師のコラムより