本ページ内容は、米国アリゾナ州フェニックス日本人向け雑誌「オアシス」に掲載されたコラムを許可を得て転載しています。テーマ以外のことも多く書かれていますが、松久先生の人柄も皆さんに良くわかっていただきたいと考え、小見出しを付け加える以外はそのまま掲載しました。

鋭く強烈な痛み、帯状疱疹ヘルペス

痛みの中にもいろいろなものがありますが、ナイフでえぐられるような鋭い痛みを症状とする“帯状疱疹ヘルペス”は、痛みで人々を苦しめる代表的な疾患です。英語では、“Shingles”と表現されます。

痛みの場所は、典型的には胸部の表面(胸壁)ですが、ときに顔面や手足に出現することもあります。

原因とされるのは、帯状疱疹ヘルペスウィルスの感染で、抵抗力が落ちたり体力の衰えたときにウィルスが活動し症状を発現します。

心臓疾患と紛うほどに激しい痛み

典型的な症状は、肋骨に沿った肋間神経に感染した症状で、肋骨に沿って非常に鋭い刺すような痛みを発現します。

痛みの場所が左側にある場合は、痛みの鋭さから心臓疾患が発症したと間違える可能性が高くなります。この際、識別するのに重要なことは、心臓疾患(心筋梗塞や狭心症)の場合は胸部の奥深くに痛みを覚えるに対し、ヘルペスでは明らかに肋骨の下縁に沿って痛みが出るということです。

この判断は重要です。何故なら、前者は命にかかわり、緊急処置を有するからです。

命にかかわることはないとしても、この帯状疱疹ヘルペスの痛みは、容易に我慢できるものではありません。この疾患を患った方々は、その痛みを、“今まで経験したことのない恐ろしい痛み”や“息もできないほどの痛み”などと表現します。

痛み止めも効かない

では、この悲惨な痛みが起こってしまったらどうしたらよいのでしょう。困ったことに、殆どの痛み止めの薬は功を奏しません。

病院を受診すれば、ウィルスを撃退する目的の抗ウィルス薬が処方されますが、これも効き目には疑問があり、運よく効いたとしても効果が非常にゆっくりで痛みを癒すのには殆ど役立ちません。

何か手を打つとすれば、背骨から肋骨が出るところで、神経に沿ってステロイドと局所鎮痛消炎剤を注射するくらいです。しかし、これは直下にある肺を注射針で傷つけてしまう可能性があり、そうなった場合は気胸という重篤な肺疾患を誘発してしまいます。本理由より、この注射も推奨されるものではありません。

従って、このヘルペスに対しては、医学的に有効な治療法がないとされるのが現状です。では、痛みを辛抱するしかないのでしょうか。いいえ、有効な手段があります。

悪さをされている神経を探し出す

本来、帯状疱疹ヘルペスウィルスは、健全な神経には悪さをせず、弱った神経にはびこって悪さをすると考えられます。ですから、神経の状態を元気な状態にしてやることにより、症状から早く回復させ、同時にウィルスを撃退することが出来るわけです。

神経が弱っている状態では、いくら薬や注射でよくしようと思っても、その実現は難しいのです。背骨の神経を丁寧に調べることにより、弱った神経(肋間神経)を探し出すことができます。そして、適切な治療により神経を回復させることにより、通常、瞬時また数日以内に、ヘルペスの痛みは消退します。これが、最も自然でかつ強力な治療といえます。

普段から体力をつけ免疫状態を良くしておくことは重要です。カイロプラクティックで背骨の神経を正すことは、体の機能と免疫を向上させ、ヘルペスの予防にもつながります。