本ページ内容は、米国アリゾナ州フェニックス日本人向け雑誌「オアシス」に掲載されたコラムを許可を得て転載しています。テーマ以外のことも多く書かれていますが、松久先生の人柄も皆さんに良くわかっていただきたいと考え、小見出しを付け加える以外はそのまま掲載しました。

自律神経失調症とは何だろう?

自律神経失調症というとなんだか難しい病名のように感じてしまいますが決してそうではありません。

自律神経には交感神経と副交感神経の二種類が存在し、それぞれが必要に応じ異なった働きをしますが、それらの働きのバランスが崩れた状態がいわゆる“自律神経失調”といえます。

前者の交感神経は人間が運動したり、何かから逃れるときに主に使われ、後者の副交感神経は眠ったり、ものを食べるときに主に使用されます。つまり簡単にいえば、交感神経は体を活発にする神経であり、副交感神経は体を休める神経なのです。

脳から体の各部を連結する神経伝達が正常に働いていれば、この動と静のバランスがうまく調和され、最適な人間生活を営むことが可能になるわけです。

自律神経失調症にはさまざまな症状があります。

自律神経のバランスが崩れ、交感神経優位の状態(交感神経の異常興奮もしくは副交感神経の低下)では、いらいらしたり、集中できないというような状態が出現します。また、血圧が上がったり、睡眠障害、便秘となったりします。

逆に、副交感神経優位の状態(交感神経の低下もしくは副交感神経の異常興奮)になると、体がだるい、やる気が起こらないというような状態が出現し、胃もたれ、朝起きにくい、下痢、肥満などの症状が見られます。

このように、交感神経と副交感神経のバランスは大変重要なのです。

自律神経と免疫との関係

最近、日本でも免疫に対する関心が増加しており、免疫革命、免疫療法として注目されています。実はこの免疫の機能にもこの自律神経のバランスが重要であることがわかってきています。

これが崩れると、免疫が高すぎたり、または低すぎたりして、多種の症状、病気を引き起こすのです。

では、この自律神経のバランスを整えるにはどうすればよいのでしょう。

免疫学の専門家たちは、心の調和が重要であるとしています。つまり、常に楽観的に前向きに考えることによって交感神経を活性化し、逆にゆっくり深呼吸したりゆったりと構えることで副交感神経を活性化するのです。

この切り替えが適切にできれば、自律神経の理想的なバランスへとつながり、好ましい体の反応が出来るわけです。悲観的な暗い考え方、過剰なストレスは心の不調和となり、自律神経のアンバランスを生み出します。

自律神経と背骨にはきっても切れない関係があります。

もうひとつ、自律神経にとって大変重要なことがあります。背骨を正しく整えることです。

背骨の一番上(上位頚椎)と下(骨盤)の場所は副交感神経と密接な関係にあり、首の下(下位頚椎)から腰(腰椎)までは交感神経と密接な関係にあります。

背骨のどこかにずれがあり、その部位で神経に悪影響を与える場合、交感神経または副交感神経が正しく働かなくなり、それらのバランスが崩れるわけです。ですから、背骨のどこかに問題がある場合、いろいろな症状、病気が出現するわけです。

確かに心の持ち方は重要ですが、まずはこの神経の根源を調整する必要があります。

背骨を正しく治すことにより自律神経の調和を取り戻すことが出来、今までのすっきりしない不完全な自分から抜け出して新しい新鮮な自分を発見することが可能となるでしょう。