本ページ内容は、米国アリゾナ州フェニックス日本人向け雑誌「オアシス」に掲載されたコラムを許可を得て転載しています。テーマ以外のことも多く書かれていますが、松久先生の人柄も皆さんに良くわかっていただきたいと考え、小見出しを付け加える以外はそのまま掲載しました。

風邪は万病の元

私の父方の祖父は5年前に87歳の人生を終えました。亡くなる前日まで、鍼灸師としての天職を全うしました。初孫であった私をとにかくかわいがってくれました。私はある意味、おじいちゃんっ子であったかもしれません。丈夫で元気な祖父でしたが、亡くなる引き金は風邪をこじらせ肺炎を併発したことによります。

入院し、担当医の先生から肺の胸部レントゲン写真を見せられたとき、本来健康であれば黒くなければならない左右両側の肺が感染で真っ白になっている現状を知りました。“もうだめだ”と思いました。通常、高齢でこの状態になれば殆どの人が回復できず死に至ります。

しかし、驚いたことに、祖父はその絶体絶命の状況から回復し、退院後数週間後には患者さんの診療を再開したのです。ここに祖父の驚くべき生命力を見たのです。

その後、数ヶ月診療しましたが、ある日曜日の午後、家の自分の部屋で妻である祖母の目の前で、突然の心臓発作で亡くなりました。その前日の土曜日はいつものように患者さんに針治療をしていました。本当に責任感のある、そして患者さんに慕われた素晴らしい医療人でした。同時に、本当にやさしい最高のおじいちゃんでした。

重症の肺炎の合併症として最後の心臓発作が出たと理解しています。祖父が亡くなったのは、私がカイロプラクティック留学する直前でした。“頑張って来い”と励ましてくれました。今思うと、もう少し早くカイロプラクティックを学んでいれば、祖父の寿命を少しだけ延ばしてやることが出来たのではないかと、時々思います。

父と弟も柔道整復師かつ鍼灸師で、私は治療家一家の中で育ちました。その中で、私の医療に対する姿勢は、この祖父の影響を強く受けていると考えます。

日本で整形外科医として勤務を続けていれば、社会的な地位と収入は今よりもずっと優れたものだったでしょう。私を動かしたのは、“目の前にいる患者さんを全身全霊をもって助ける”という単純なものです。しかしながら、今の医療を見ると、その本質からずれたものが氾濫しています。

ドクターには必ず助けるという信念、患者には必ず良くなるという望みが必要なのです。

ここからが本題ですが

話は風邪の話に戻りますが、風邪を引くということは体のウィルスに対する抵抗力が落ちていると考えることができます。

健康な体であれば、ウィルスが存在しようと、気道粘膜の防御機構、血液のリンパ球による撃退機構等が理想的に働き、風邪にかからないか、かかっても早期に回復します。

例えばここに一卵性双子の子供がいるとしましょう。生まれたときから同じ環境で同じ食事のもとに育っています。背格好も大変よく似ています。しかしながら、片方の子供Aは絶えず風邪を引くが、他方の子供Bは生まれてから殆ど風邪を引いたことがありません。

この二人には何が異なるのでしょうか。これは、単に抵抗力の違いといえます。もちろん、抵抗力増強には、栄養、運動も重要ですが、この例で言えることは、彼らの背骨において骨のずれによる神経の圧迫(サブラクセーション)があるかどうかということなのです。これがあると、正常な抵抗機能が妨害されてしまうわけです。