本ページ内容は、米国アリゾナ州フェニックス日本人向け雑誌「オアシス」に掲載されたコラムを許可を得て転載しています。テーマ以外のことも多く書かれていますが、松久先生の人柄も皆さんに良くわかっていただきたいと考え、小見出しを付け加える以外はそのまま掲載しました。

顎関節症を考える

皆さん、顎が痛い、口が大きく開けられない、または噛み合わせがおかしい、などの症状でお悩みでしょうか。これは、通常、"顎関節症"と呼ばれます。

顎関節は首からの神経に富んでいるため、多くの場合、頭痛、肩こり、目の疲れ、耳鳴りなどの症状を伴うことになります。

顎は、日常生活において、話をしたり食事をするときに必要不可欠の器官ですから、それに問題があれば、当然、生活に大きな支障をきたすわけです。

西洋医学的治療の考え方

治療は、一般的に医学的(口腔外科、歯科)には、装具(スプリント)を着け矯正したり、関節自体に大きな問題がある場合は、外科的手術がなされます。しかしながら、この顎関節症は、医学的には完治することは難しいとされ、治療に困惑することが多いようです。

症状をよくするには、上記の治療以外に、患者自身の生活習慣の改善が必要とされます。主なものとしては、口を大きく開かない、硬いものを食べない、といった点が挙げられます。

顎の噛み合わせが悪かったり、顎関節の機能が落ちることにより、症状が出るわけですが、医学的にはその原因はいまだによくわかってないようです。

根本原因を突き止めることが鍵

私がいつも述べるように、医学的に原因不明とされる疾患、病気を考える場合、人間の体の根本的なところに目をやる必要があるのです。ただ、症状があるところ、この場合、顎だけに注意がいってしまうと、大事な原因を見逃してしまうことになります。

解剖的には、顎関節を支配する神経は、頚椎(首の骨)から出てきます。つまり、この神経の出口の部分で何らかの問題があると、その神経は正常に機能しなくなり、それが支配する顎関節に痛み、機能障害などの問題が出るわけです。

もっとわかりやすくいうならば、顎は火災報知機で、顎に行く神経の出口が火災場所ということになります。痛み止めの飲み薬や注射、装具や手術によって治療しても、それは火災報知機を壊してその警報音を消しているに過ぎないのです。

顎自体に問題がある場合は、これらの治療でよくなりますが、たいていの場合、根本的な原因として首が関係するわけです。

あごに行く神経は正常ですか

私の提唱する正しい治療法は、まず、顎に行く神経が健全であるかどうかを調べることが第一になります。

私のガンステッドカイロプラクティックでは、首のどの部分がどのように神経に悪影響を及ぼし、それが顎の症状にどのように影響しているかを厳密にチェックします。顎関節症の多くの症例が、頚椎を治すことにより症状は改善します。

全く顎をいじらなくても、神経の状態がよくなれば、自然に顎が改善するのです。特に、首の上の部位、第一頚椎(C1)のずれが原因になっていることが多く、これを治すことにより、顎の痛みは軽快し、顎の噛み合わせもよくなっていきます。ただし、首を治しても尚よくならない場合には、顎のずれを直接治していくことになります。

これからの医療は、まずは、根本的な原因の可能性をまず第一に考え、それに焦点を当てることが必要になります。近未来の医療は必ずそのように変わってくるでしょう。