本ページ内容は、米国アリゾナ州フェニックス日本人向け雑誌「オアシス」に掲載されたコラムを許可を得て転載しています。テーマ以外のことも多く書かれていますが、松久先生の人柄も皆さんに良くわかっていただきたいと考え、小見出しを付け加える以外はそのまま掲載しました。

高血圧でお困りの方に

血圧が正常範囲を超えて高くなる、いわゆる高血圧症は、一般的には動脈の硬くなる動脈硬化を伴っており、放っておくと脳梗塞や脳出血、狭心症や心筋梗塞の危険因子となります。

従って、病院、医院で高血圧と診断されると、それらの危険性を説明された上で、医師により積極的に降圧薬(血圧を下げる薬)が処方されることになります。これらの降圧薬は、カルシウム遮断薬、アルファ・ベータ拮抗剤、またはACE剤などで、化学的に血管の収縮を緩め血圧を下げさせます。

確かに血管を緩めれば、血圧は一時的に下がります。しかし、ここでよく考えてみてください。もともと血管が硬くなったり収縮するのはなぜでしょうか。

そこには根本的な原因があって当然です。しかしながら、今の現代医学では、この原因よりも結果として起こる事象(症状)ばかりを治療対象にしてしまっています。

いくら薬によって血管を緩めたところで、薬が効いているうちはその化学作用で下がりますが、切れればすぐに元に戻ってしまうのは当然な話しです。薬を飲み続けると、次第に耐性(薬に対する感受性が鈍ること)が増加し、だんだん薬が効かなくなり、薬の量が増えるか更に強い薬に変えられてしまうわけです。

今の世の中を見れば、このような悪循環に陥ってしまっている方を多く見かけます。

自律神経が正常な指令を送るとき血圧も正常に調節されます。

どうして血圧が高くなるのでしょうか。

脳からの正常な指令が適切に血管に伝わっていれば、必要なときに適度に血圧が上がり、必要なときに適度に血圧が下がるわけです。この微妙な調節が精密に神経によって調節されるはずなのです。

この血圧を適正に保つ働きは、主に交感神経と副交感神経からなる自律神経によってなされます。脳からの指令によって交感神経が刺激されると血圧が上がり、副交感神経が刺激されると逆に血圧が下がります。

人間が走ったり、興奮したり、また怖いものから逃げるときには、交感神経が主に働き血圧が上がり、食べたり、眠ったり、リラックスするときには、副交感神経が主に働き血圧が下がるわけです。

血圧異常の根本原因を治すことで悪循環を断ち切れます。

脳から脊髄(背骨の神経)をとおり各血管に伝わる神経の働きが正常であれば、この生まれながらにしてもつ精巧な調節が適切に働き、血管に無理な負担がかかることなく、理想的な血圧に保たれるのです。

背骨のある部位で異常があり、そこを通る神経に異常をきたす場合、その神経が交感神経であれ副交感神経であれ、その機能に異常をきたし、正常な血圧が保てなくなるわけです。

これは血圧異常の根本的な原因であり、これを治さない限り、根本的に血圧を正常化させることはほぼ不可能でしょう。薬で血圧を強引に下げるのは、火災報知機が鳴っていても根本的な出火を納めず、無理やり音を止めているのと同様なことです。

いつも私が述べることですが、まずは背骨に異常がないかどうかをチェックし、それがあればその異常を治すことが何よりも肝心でしょう。それでだめなら、薬が必要かもしれません。自分で健康と思っている方でも、その99%の人の背骨に異常(神経の圧迫)が見つかります。人間の体の基本はまず背骨です。ごまかしでない、真の健康を目指しましょう。