本ページ内容は、米国アリゾナ州フェニックス日本人向け雑誌「オアシス」に掲載されたコラムを許可を得て転載しています。テーマ以外のことも多く書かれていますが、松久先生の人柄も皆さんに良くわかっていただきたいと考え、小見出しを付け加える以外はそのまま掲載しました。

今話題のメタボリック症候群

最近日本で特に報じられている"メタボリック症候群"を考えてみましょう。日本国内では、中高年男性の約半分にあたる人が、本症候群またはその予備軍であるとされています。

これは、英語ではMetabolic Syndromeといい、内臓脂肪型肥満(内臓肥満、腹部肥満)に高血糖、高血圧、または高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいいます。

これらのリスクが集積すると、相乗的に動脈硬化性疾患の発生頻度が高まり、脳血管障害(脳出血や脳梗塞など)や心疾患障害(狭心症や心筋梗塞など)に罹患する確率が高くなるわけです。

西洋医学的メタボリック症候群対策は要が抜けている

本治療では、合併所の予防が主眼になるため、動脈硬化の発生、進展予防が中心となります。具体的には、食事療法による摂取カロリーの適正化により脂肪蓄積の進行防止、改善を狙い、運動療法により脂肪燃焼を促します。

これらによっても検査値が改善されない場合は、医学的にそれぞれの目的に応じた薬が処方されることになります。また、内科的治療によって問題が解決されない場合は、血管に対する外科的治療法(手術など)が考慮されます。

以上が、現代西洋医学におけるメタボリックシンドロームに対する一般的な情報になります。

神経伝達の障害を忘れてはならない

しかしながら、上記の情報だけでは、人間の体で最も重要な要素がすっかり抜けてしまっています。 それは体の中心をなす背骨(脊椎)です。

ここには脳から連結する脊髄という大きな神経が走っており、内蔵を含めた体の全ての細胞に指令を送っています。例えば、ものを食べたときには血糖値が上がりますので、その際には神経を伝って脳がそれを察知し、さらに神経を伝って膵臓に血糖値を下げるインシュリンを放出するように指令するわけです。

この膵臓への神経伝達に問題があれば、血糖を必要に応じて下げることができず、高血糖すなわち糖尿病となってしまうわけです。また、背骨において甲状腺、副腎、腎臓につながる神経の伝達に問題があり、それら臓器に正しい指令が伝わらない場合も、理想的な血圧を維持できずに高血圧となってしまいます。

さらに、背骨において、脂肪を代謝する肝臓、胆嚢を支配する神経に問題があれば、適切に脂肪を代謝することができず、高脂血症を招くことになると考えられます。

ですから、これら背骨の神経を正常化させることにより、それぞれの状態は回復に向かうわけです。

背骨は健康の鍵

このように、体中の細胞をコントロールする神経に直接影響を与える背骨は非常に重要なのです。食事療法やダイエット、運動療法、そして生活環境の改善などはどれも重要な要素ですが、これらを一生懸命実施したとしても、背骨の神経に問題があれば、懸命の努力も報われない可能性が高いのです。

 背骨を調べることで、思いもよらなかった体の問題が見えてきます。症状や検査でひっかかる異常は、神経の問題がある一定期間存在した後に現れてきます。つまり、通常は、症状や異常に気づかずに日常を過ごしてしまっているわけです。背骨は健康の鍵です。